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1月定例能

2021年1月11日
定例能M

1月定例能

日時

1月11日(月・祝) 午後1時開演(正午開場)

会場

石川県立能楽堂(金沢市石引4丁目18-3)

入場券

前売り一般 2,500円/当日 3,000円
若者割※(30歳未満・当日のみ) 1,000円 ※受付にて年齢を確認できるものをご提示ください。
中学生以下 無料

  • 番組表
  • 解説

2021年1月定例能番組表

【能】翁(おきな)

老体の神による祝福の歌舞で、古くは〈父尉(ちちのじょう)〉を省略せず、〈式三番(しきさんばん)〉と呼びました。神聖な晴れの催しや正月に演じられます。幕が上がって、面箱持ち(狂言方)・翁(シテ方)・千歳(せんざい)(同)・三番叟(さんばんそう)(狂言方)、そして囃子方ほかの諸役が登場し、翁の前で面が箱から出されるのを待って着座します。笛や小鼓三丁の囃子とともに、翁は「とうどうたらり」と千代の幸せを祈る祝言を謡います。次に千歳が「鳴るは滝の水」を謡い舞って、千年の栄えをことほぎます。この間に翁は白式尉(はくしきじょう)の面を掛け、神となって三番叟に向き合い、そばに参ろうと上機嫌です。やがて正面を向いた翁は、袖を大きく広げて、天下泰平国土安穏を祈祷し、荘重な翁舞を舞います。面を外した翁(と千歳)が退場したあと、囃子に大鼓が加わって、喜びを逃すまいという三番叟による揉(もみ)ノ段、黒式尉(こくしきじょう)の面を掛けた三番叟と面箱持ちによる問答の後、鈴を受け取った三番叟が鈴ノ段を舞って終わります。

【狂言】宝の槌(たからのつち)

主人の言い付けで宝を買いに都へ出た太郎冠者、「宝買います」と呼ばわるうちに、宝屋を名のるすっぱが近づき、古い太鼓の撥(ばち)を見せて、昔為朝(ためとも)が持ち帰った蓬莱(ほうらい)の島の宝の一つ、打ち出の小槌と偽って、万疋(まんびき)で売り付けます。怪しげな呪文(じゅもん)を教わり、脇差(さきざし)(すっぱ所持の物)を出して見せられた太郎冠者はすっかり信じて、帰館後主人の希望で馬を出そうとしますがもちろん失敗。苦し紛(まぎ)れに呪文に掛けて主人の繁栄を予祝し、喜ばれます。

【能】野守 白頭(のもり しろがしら)

大峰葛城(おおみねかずらき)をめざす羽黒山の山伏(ワキ)が、和州春日の里で野守の老人(前シテ)に出会い、由緒ありげな水のいわれを尋ねます。老人は野守の鏡という名の由来を、老人のような野守が姿を映すからとも、まことは昔鬼神が持った鏡ともいうと教えます。鬼は昼は人の姿で野を守り、夜は鬼となって塚に住んだとか。老人は昔の自分を懐かしみ、「はし鷹の野守の鏡」の故事も語ります。それは野守が鷹狩りの帝と言葉を交わし、面目を施した思い出です。鬼が持つまことの鏡は見るのも恐ろしかろうと言い、老人は塚の中へ入ってしまいます(中入)。山伏は法力を頼み、鬼が持つ鏡を見たいと全力で祈ります。すると火花の散り輝く大鏡を持って鬼神(後シテ)が現れます。山伏は鏡を正視できず、恐れながらも、鬼神を引き留めて祈祷を続けます。山伏の行徳に引かれた鬼神は、無限の宇宙と罪罰のすべてを映し出す鏡の威徳を示した末に、鏡を山伏に与え大地を踏み破って奈落の底へ帰ります。
小書がつくと塚の作り物を出さず、シテは幕へ中入します。後シテは常の赤頭を白頭にし、装束も変わります。地謡が終わり太鼓の留撥が打たれた後も囃子の手配りが残り、それが終わるのに合わせてシテは足を留めます(残り留)。

(西村聡)