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能楽をさらに詳しく知る

能の演技

カマエとハコビ

能の基本姿勢を「カマエ」と言います。均衡のとれた安定した姿勢が美しい立ち姿を作ります。能の歩き方を「ハコビ」と言います。すり足とも呼ばれます。板の上をすべるように滑らかに歩きます。役柄によってハコビも変わります。カマエもハコビも、能面をかけた状態で美しく動けるように編み出されたものです。

能の所作

能の所作には具体的な意味をもったものと、抽象的なものがあります。謡に合わせて具体的な所作をするところもあれば、抽象的な所作で美しく舞って見せるところもあります。能の所作は長い歴史の間に無駄を削ぎ落され、抑制されたものになっています。その分わかりにくくなっているところもありますが、磨きあげられた美しさと、内にこめた力を感じていただけたらと思います。

能の演技

能面

様々な表情を見せる能面

「能面のように無表情」という言葉がありますが、実際は様々な表情を見せられるように作られています。うつむくことで悲しげな表情になり、上を向くことで晴れやかな表情になります。演者のちょっとした動きにより表情が動くことが、いい能面の条件と言われています。表情の変化をつけるために、まっすぐ向いたときにはフラットな表情になるよう作られており、これを「中間表情」と呼びます。

白式尉

白式尉
【はくしきじょう】

「翁」で用いられる面。「翁」は能にして能にあらずと言われる、古態を残した神聖な演目。

中将

中将
【ちゅうじょう】

平家の公達や、在原業平・光源氏など貴公子の亡霊に用いられる面。

節木増

節木増
【ふしきぞう】

宝生流の名物面で、鼻の付け根に節があることからこの名がある。若い女性の役に用いられる。

曲見

曲見
【しゃくみ】

中年の女性の面。子どもと生き別れた母親の役などで用いられる。

般若

般若
【はんにゃ】

嫉妬により鬼女となった女性の面。

能の演目

宝生流 能の演目

宝生流には現在180の演目があります。能の演目は大きく5つに分類され、江戸時代、翁に続いて5種類の演目を演じるのが正式な形と定められました。能の間にはそれぞれ狂言が演じられました。

能より古く鎌倉時代から寺や神社の祭礼で演じられていたと言われている神事に近い芸能をルーツに持つ。演者は精進潔斎して身を清めて舞台に上がる。その年の最初の公演や、舞台の杮落としなどで演じられ、他の演目とは別格に扱われる。

初番目物

神を主人公とする演目。国土安穏を祈るおめでたい演目。

二番目物

源平の武将を主人公とする演目。戦での華々しい活躍や、自らの最期を語る。

三番目物

伊勢物語や源氏物語に登場する女性や貴公子、草木の精を主人公とする能。優美な舞を見せる。

四番目物

離れ離れになった息子を慕い狂乱し、最後には再会する演目や、義経・弁慶の活躍など、平家物語、義経記の一場面を劇的に見せる能、生前の行いにより地獄に墜ちた亡霊が現れる能など幅広い演目を含む。

五番目物

鬼神を主人公とした派手な演目や祝言と呼ばれるおめでたい演目。

能の配役

能の配役

能の役名

能の配役や演者の呼び名には独特の決まりがあります。「番組」と呼ばれるプログラムに、決まりにしたがって図のように記載されています。

①演目名
宝生流には180番の演目があります。
②シテ
主役のこと
③子方
子供が演じる役。天皇や義経のように、大人の役であっても子供が演じる場合がある。
④ワキ
脇役、シテの相手役。最初に登場して舞台設定をし、シテから話を聞き出して舞台を進行する役割を担う。役柄は必ず生きた人間なので、能面をかけることはない。亡霊を供養するため、僧であることが多い。ワキは専門職で、ワキとワキツレのみを担当する。
⑤ワキツレ
ワキの助演役。ワキが連れてくるので「ワキツレ」と呼ばれる。同様にシテ方のツレもあり、単に「ツレ」、あるいは役名で呼ばれる。
⑥間狂言
狂言方が務める役、多くは、前半と後半の間、シテが装束を替える時間をつなぐ役割を担う。
⑦後見
舞台が円滑に進むようサポートする役。作り物の出し入れや、装束の着付け、持ち物の交換などを行う。シテに何かあった時には代演しなければいけない重要な立場。
⑧地謡
能のコーラス部隊。情景を謡ったり、登場人物の言葉や思いを代弁したりする。
⑨~⑫囃子方
それぞれ専業で、違う楽器を演奏することはない。太鼓は曲によって出ない場合もある。

能の舞台

能舞台は正方形の舞台が大きく前に突き出した形状をしていて、幕より現れた登場人物は「橋がかり」を通り、舞台に入ります。舞台奥の「鏡板(かがみいた)」には、神が降りるとされる「影向(ようごう)の松」が描かれています。また、地謡や後見は舞台奥右になる「切戸口(きりどぐち)」より出入りします。
能舞台

動画で見る金沢能楽会

楽堂に足を運んだことのない方々にも能を楽しんでいただく機会になるよう演能や出演者のインタビュー動画を配信しております。

金沢能楽会動画
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